網掛山

 網掛山は、昼神温泉郷を見下ろし、あたかも温泉に来た遠方からの旅人を見守っているかのような山です。1300年以上も昔、この山の中腹には東山道がつらぬき、近江(滋賀県)を起点に、陸奥・出羽国(東北地方)まで通じていたとされ、西へ東へ向かう人々が、この網掛峠も行き来していたと想像されます。
この峠には「蛇瘤杉」という杉の大木があって、峠の象徴となっていましたが、昭和28年に老衰を理由に伐り倒され、現在はその切株と「蛇瘤杉」の石碑が残っています。

この杉には次の伝説があります。

「近江(おうみ)の国琵琶湖畔の村の若い男女が、村人のねたみから村を追い出され、旅を重ねてこの村に来たとき、疲れと飢えのために産んだばかりの赤児とともに絶命した。村人は哀れんで三人をここに葬り、墓じるしに杉の木を植えてところ、杉の木はたちまち生長して幹が三つに分かれ数個の瘤(こぶ)をもつ大樹となった。そのころ、琵琶湖に杉の木の影がうつり、湖が荒れて魚がとれなくなった。占ってもらうと信濃路の山深い峠で恨み死んだ三人のたたりであるといわれ、そこでこの地を尋ねて来て三人の霊を祀(まつ)ったところ、湖はもとの静けさにとりもどしたという。若者夫婦の持ってきた網が木に掛けられていたところから網掛峠といわれるようになり、ここに祀られてあった網掛三社権現社は大正4年伏谷社(ふせやしゃ)境内に移された。」

今となっては、中央道・恵那山トンネルを抜け、信州に旅をする人たちの玄関として多くの旅人を迎えている昼神温泉郷ですが、その昔にも、琵琶湖からの若い旅人を迎え入れ、杉の大樹としてこの地に根を張ってもらっていたという伝説があったというのは、まったくの作り話でないような気がしてたまりません。

春の新緑の季節や、秋の紅葉の季節、昼神温泉郷の旅館から網掛山を仰ぎ見て、その自然の美しさに心奪われる背景には、東山道としての古い歴史を自然と感じてしまうからなのかもしれません。また、網掛山の東峰展望台からは、眼下に信州の山々の中にたたずむ昼神温泉郷の全景が見え、正面には視界いっぱいに広がる南アルプスが横一線に見ることができます。


 コース

■家族・初心者向け
所要時間:往路 約1時間半・復路 約1時間
往路:昼神温泉郷→登山口→網掛峠→網掛山頂上→東峰展望台
復路:東峰展望台→登山口×現在通行難:東山道 園原〜網掛峠

 


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